大和ごころ
二杯目と三杯目のコーヒーの合間に「Excuse me. Could you teach me the WabiSabi of Japan?」
侘?寂?何も答えられなかった。だいたいどんな漢字を書くのかすら僕は知らなかった。Japanese-Cultureと言っても様々です。言葉、衣、食、住、芸能、芸術、宗教、習慣、政治、経済、etc...。容易にひとくくりに出来る物ではないし、海外の影響も確実に受けて育ってきた僕らには、容易に理解することも、説明することも困難である。そんな中で古くから「和」というキーワードが根付いているが、近年「和」とは、古い言葉ではなく新しい物として生かされてきている気がする。そこで今回は「侘と寂」「幽玄」「はかないもの」について着目してみました。
「侘」は心を慰める愛情のないことから発し、物質的な貧しさがその意味でしたが、中世の隠者(俗世間との交わりを絶ち、修行あるいは自適の生活を送っている人)の草庵(草葺(ぶ)きの小さな家。草のいおり。)の生活が持つ自然の素朴さに徹する理念として用いられて以来、貧しいという意味合いとは別次元の境地まで至りました。精神的に静かな落ち着いた状態、人生に伴う様々な苦悩を超えた状態とのことです。また「侘」の哲学的美意識は、茶道(茶の湯)の発展とともに確立されていったようです。
「見渡せば 花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ」
『この歌の一般解釈→「漁師小屋のある海岸の景色を眺める と,そこには花も紅葉もないのに秋の夕暮れをしみじみと感じさせてくれる。心打つ景色には花も紅葉もいらないのだ」』(藤原定家)の和歌ですが、この世界こそ、詫茶の精神であるとされています。無一文で、目を見張るような景色もないとすれば、そこにあるのは、静かで穏やかな心のみ、ということのようです。
一方、「寂」は、閑寂、寂しさを昇華(情念などがより純粋な、より高度な状態に高められること)したうえで見いだされる美だそうです。
「願わくは 花のもとにて春死なむ そのきさらぎの望月のころ」
23歳で出家し27歳で諸国行脚に出た(西行)の、花と月の両方が読み込まれた最後の和歌です。散る桜、月の満ち欠けなど、現代人には言葉で表しきれな
い美とその心を、整然とした簡潔さで明確に伝えているようです。「幽玄」であり、「風雅」な素朴さといえるもので、のちに西行を慕った松尾芭蕉は、「寂」を閑寂な情緒の洗練として、俳諧の根本理念のひとつとしたとのことです。「侘寂」はともに、「渋み」の精神であり哲学です。
それでは「幽玄」とはなんでしょうか。「幽玄」という表現は、平安時代から用いいられていました。藤原俊成は同じ平安末期の歌人西行と共に、その時代の苦悩を詠み、そこに「幽玄」という観念をつくりあげました。それは芸術であると同時に思想でもありました。室町時代、観阿弥・世阿弥の親子により、能楽に「幽玄」という芸風が打ち出され、平安の和歌の伝統、仏教の影響を受けつつ「幽玄」を能楽の理想の美しさとしたとのことです。『花伝書』『花鏡』などは、芸術論として幽玄の世界を示すもので、能楽の秘伝奥義でありながら、他の専門分野にも共通する原則論、人生の幸福論ですらあるとのことです。
「はかないものをいとおしむ」
移り変わることに敏感な精神は、同時にはかないものに情緒を感じます。満開の桜も美しいものですが、むしろ、次の瞬間にほんの短い時を過ぎて散る桜のはかなさをこそ、いとおしく美しいと思う心です。茜色がすぐに暗くなってしまう夕暮れの空、朝咲いて日暮れにはかれてしまう花……。月もいつも満月ではなく月齢で変わるからこそ、いろいろな姿の月を眺めては心を動かされるのです。はかないものをいとうしむ心は、自然や物事に、はかない自分自身の心を移しとらえる無常観によるものです。それに共感しつつ、その一瞬の美しさの力を感じることによって、自然との一体感を見いだしているのです。
日本人にとってかけがえのない美の世界があります。そしてそこに根ざしているもの「和」の原点といえるもの、私たちが世界に誇れるもの、それが「大和ごころ」です。
(参考書類:加藤ゑみ子・著「和のルール」より)


コメント
書き出しがかっこいい。
あと、「ほんの短い時を過ぎて散る桜のはかなさをこそ、いとおしく美しいと思う心」とは、大切だね。そういの忘れてたな。
投稿者: 四丁目 | 2006年06月03日 13:30
和心ですね~!和ゴコロってアイスが食べたくなっちゃったんだな~!
投稿者: タイガー | 2006年06月16日 11:18
和心なんて言うけど日本人のくせにわかってないんだよね、俺も含め。勉強になったよ、ニトベさん。もっと日本人であること誇りに思えるようにしないとね!!!
投稿者: ヨモギダ | 2006年06月16日 23:03
そうだね。日本の黒船音頭を世界に発信って夢でかいかね。いやでかい方がいい。
投稿者: ニトベ | 2006年06月23日 00:40